読書記録:おかざき真理「阿・吽(あうん)」

漫画本を買うのは10年ぶりくらいです。

おかざき真理さんの「阿・吽」。

空海最澄がダブル主演の漫画です。

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ネットの試し読みで衝撃を受けて、何度も読み返すだろうから、紙媒体で欲しいなと思い、購入しました。

全巻揃えると8000円以上になりそうで、ちょっと躊躇ってしまいましたが、ネットで中古本が1500円以上送料無料となっていたので、とりあえず5巻まで購入しました。

 

こちらの作品の特徴は、漫画を超えた絵画のような美しさだと思います。

漫画って、人物の表情や動きを主に描くと思うのですが、人物以外の心象風景や背景がめちゃめちゃキレイなんです。

さすが宗教を題材にされるだけあって、細かい描き込みで世界観を見事に表現されています。

 

あまりの迫力に、凄惨なシーンなどの描写がショッキングすぎて・・・

何度も読み返すつもりで買ったのに、一度読んだきりで、まだ読み返せていません。

スマホの小さな画面で試し読みした時は、すごい漫画があるんだ!と心が震えたのですが、実物を手にとってみると、そのオーラに飲まれてしまって、とても痛く、辛く、苦しいのです。

流れる血の匂いや腐臭まで感じるような気がするし、悲鳴や怒号まで響いてくるような気がします。

漫画なのに、ですよ。

圧倒されまくって、感動しているのに、恐怖と嫌悪感に似た気持ちまで働いてしまっていますσ(^_^;)

子供の頃、「おこりじぞう」という戦争の絵本が怖くて開けなかったのですが、あの頃の気持ちと通ずる所があるのかもしれません。

 

とはいえ、最澄空海も美形で、人間的な魅力にも溢れていてカッコイイですし、歴史にも詳しくなれるというメリットも付いてきます。

教科書で暗記しただけのあやふやな記憶より、漫画として読むとグッと内容が密になります。

著者の取材力や知識の深さ、探究心の賜物ですね。魂がこもっています。

 

そして、思わずメモしたくなるような、心に残る名言もたくさん出てきます。

 

「自らが認識することで初めて其処に物が存在するのであれば・・・自らの心をくもらさず見ることが必要です。清浄な目で見ることができれば、世界の真理は心の中に在る。」

 

「時空を超えて人を繋ぐものが学問であるよ。」

 

なんて、哲学的で素敵じゃないですか?

 

知っているようで知らなかった、真新しい革新的な平安時代にタイムトリップできる作品です。

まさに大人が夢中になる漫画。

おすすめです!